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熊本県阿蘇郡南小国町の満願寺川にオキチモズクが生育することは
よく知られている。
この発見の経過などを2007年1月28日に訪れた際,地元在住の北里卓児さんに伺うことができ,手元の資料も加えて記録しておきたい。
1955年3月5日に北里三次さん(卓児さんの父)が採集した標本を長崎大学水産学部の岡田喜一博士に送ったことが発端のようで,このときのオキチモズクの押し葉標本が北海道大学理学研究科の標本室に保管されている。
天然記念物指定地の表示には4月10日発見とされているので,この日に岡田博士がこの場所に来て確認したのであろう。5月19日岡田博士採集の標本(写真1)も残されているので,この日にも来訪したことになる。更に7月11日に岡田博士が満願寺川でオキチモズクの生育状況を撮影した写真が神戸大学に残されている。
1959(昭和34)年7月1日付で天然記念物の指定がなされた。指定地は満願寺橋から下流1163mまでとされている。北里卓児さんの話によると,さらに下流まで生育しているのを知っていたけれども,食用にしていたため,指定地とされると採集できなくなるので,上流部だけの指定とされたとのことである。
2007年1月28日に北里さんの案内で下流部分にはいって生育状況を観察したところ,この部分にはオキチモズクではなくチスジノリが生育していることが
明らかになった。
北里さんが作成された乾燥標本(写真2)を見ても,チスジノリであることが確かめられた。満願寺橋のちかくには現在もオキチモズクが生育している。
50年あまり前に北里さんたちが食用にしていたのがオキチモズクなのかチスジノリなのかは謎のままである。
(吉田 忠生)
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