串間温泉のタンスイベニマダラ
   鹿児島県との県境に近い宮崎県串間市本城に串間温泉「いこいの里」がある.開業して6年目という.施設のリフレ館の前には鯉が泳ぐ池があり,それから館内のせせらぎを流れた水が中庭の池に注いでいる.館内のせせらぎは小石を敷き詰めて作られている.このせせらぎにタンスイベニマダラが生育して,小石を紅色に染めている.発見者は(株)海藻研究所の新井章吾さんである。このような状態が目立つようになったのは昨年からとのことである.水は地下からくみ上げられたものを使用している.
 タンスイベニマダラはふつう湧水や谷川のきれいな水がいつも流れている場所で,樹木が覆って薄暗い場所に見られるものである.串間温泉のように地下水をくみ上げた人工的なせせらぎに生育するのは珍しく,建物の中で明るさが適当であるという条件もある.このタンスイベニマダラがどこから由来したかもまったく不明である.
 タンスイベニマダラはレッドデータブックでは準絶滅危惧 (NT) に指定されている.栃木県から宮崎県までのいくつかの場所から記録されている(熊野,2000).九州での報告例は少ない.

 (吉田忠生)

串間温泉いこいの里の外観



小石に付いているタンスイベニマダラ

館内の中を流れている