太平洋北部の海藻研究

 北海道からオホーツク海・アラスカにかけての海域における海藻の研究は19世紀はじめからロシアの Gmelin, Ruprecht らの探検的な調査によってスタートした.20世紀になると,日本の研究者による調査が始まり,宮部金吾(北海道のコンブ類),永井政治(千島の海藻),時田?(樺太南部の海藻)らによって知識がいちじるしく増加した.しかし第2次世界大戦以後は日本人がこの地域に行くことは困難で,研究は中断した.この時期,ソヴィエットロシアでは E.S. Sinova, A. Zinova などによる研究が進行した.けれどもサンクトペテルスブルグ(レニングラード)を本拠とする仕事は地理的に離れていることから不充分であった。

1980年頃からはカムチャッカのペトロパブロフスクの海洋生物学研究所で O.N. Selivanova らが活動を開始した.

 このような状況で,同じ海域の海藻研究についての研究者の交流は殆どなく,両国間で情報の交換も不充分だった.近年,状況は徐々に改善され,2003年2月から6ヶ月間,北海道大学総合博物館の招きによってSelivanova博士が来日して日本の研究者との意見交換を活発に行なった.

長いあいだ日本人海藻研究者が足を踏み入れることが無かった樺太(サハリン)にも,北大総合博物館の阿部剛史博士が海藻調査のために訪れた。2003年7月11日に「極東ロシアと日本の海藻」という題の公開シンポジウムが開催された.
ここで両国の研究者から話題提供があり,海藻分類学について問題点が多くあることがはっきりしてきた.協同研究がこれから開始され,懸案を解決して多くの成果があがることが期待される.
                                          
【吉田 忠生】


阿部剛史博士とSelivanova博士