オキチモズクの大きさ


オキチモズク Nemalionopsis tortuosa は1938年に愛媛県の「お吉泉」で発見されて以来,九州各地,奄美大島,沖縄などで生育が確認されている。

その大きさについて,長さ10−40cmに達する(日本淡水藻図鑑,1977.p.173;日本の希少な野生水生生物に関するデータブック,1998.p.220;レッドデータブック9.p.318)または長さ5−30cm(世界の淡水産紅藻,p.293)という記述がされている。

福岡県朝倉市甘木下浦の水路で2006年に調査したところ,2月に1mに達する藻体を観察することができた(吉田:藻類 55:13-14. 2007)。この場所から1.5kmあまりの距離にある馬田地区にある水路にもオキチモズクが生育していることを飯田大和さんが発見し,水路の清掃などの努力をされた結果,2007年には多数の株がよく生長するようになった。

狭い範囲ではあるが下浦のものよりもよい状態にあるといえる場所(写真)があり,4月18日にいくつかの株について長さを測ってみた。長いもので2.5mから3mの長さであった。体の基部を除いて分枝は少なく,太さは0.5−0.6mmくらいである。その後,飯田さんが再度ていねいに採集して測定したものは3.7mあり,乾燥標本として保存している。

この水路の上流には湧水が出ている場所があり,水田の間を流れていて生活用水は混入していない。長い藻体が集中して生育しているところはコンクリート3面張りの底面であり,水深は5−10cm,流速は 25 cm/sec 程度であり,4月中旬の水温は約12℃,5月中旬には17.5℃であった。このような条件がオキチモズクの生育に好適であるといえるだろう。

この水路の上流にも,下流にもオキチモズクの生育している部分がある。その部分はオオカナダモの生育が少ないか,オオカナダモを除去した部分である。

吉田忠生

 
朝倉市馬田の水路,オキチモズクの長い藻体