樺太における海藻利用

昆布はロシア語でморская капуста(モルスカヤ・カプースタ:"海キャベツ")と呼ばれ,食用に利用されている.私が訪問した2003年6月下旬には,ホルムスクなどのサハリン南西岸で,磯舟を使ったコンブ漁が行なわれていた.
種類は地元の研究者はマコンブ Laminaria japonica に当てていた.漁法は潜水して根本から刈り取るとの話だった.ホルムスクやネベリスクの工場でサラダとして缶詰に加工される.

写真は,Biological Station があるソコルという小さな町(ユジノサハリンスクから北へ約20km)の雑貨店で売られていた"極東サラダ"という缶詰.千切りにした昆布にタマネギを加え,サラダ油・塩・砂糖・酢・香辛料で味付けされている.日本人にとっては少し薄味か.

ユジノサハリンスクの路上では生の Cystoseira が食用として売られていた.現地での呼び名はморской виноград(モルスコイ・ヴィノグラート:"海ブドウ").
種類はウガノモクかと思い込んでいたのだが,日本で吉田先生に標本を見ていただいたところ,気胞が明瞭に離れておりネブトモク C. crassipes に当たるのではないかとのご指摘を頂いた.

昆布と同様にサラダとして利用されるが,缶詰などは製造されていないようだ.味付けは昆布の場合とほぼ同様だが,海藻をゆでるか生のままか,サラダ油を入れるか入れないかなど,各家庭で調理法が少しずつ違うそうだ.

日本で食用としない種類なので警戒しつつ試食したが,味は癖もなく歯触りも良く,日本でも十分通用すると思う.

                                          
阿部剛史 北海道大学総合博物館
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