本書は古典的になった岡村金太郎の歴史的大著「日本海藻誌」(1936)を全面 的に書き直したもの である。 「日本海藻誌」刊行以後の約60年間の研究の進歩を要約し,1997年までの知見を盛り込んで,日本産
として報告のある海藻(緑藻,褐藻,紅藻)約1400種について,形態的な特徴を現代の言葉で記載している。 編集にあたっては,各種類の学名を原典にさかのぼって検討し,国際植物命名規約に厳密に従って命名上
の正確さを期し,関連する文献を詳しく引用。また,命名規約に基ずいて,多くの種のタイプ標本を確定し ,その所在を明らかにするとともに,北海道大学,国立博物館などに所蔵されているタイプ見本の写
真を 多数掲載した。 植物学・水産学の専門科のみならず,広く関係方面に必携の書。
【対象】
日本沿岸に産することが報告されている海産の緑藻,褐藻,および紅藻。 目 Orderまでの分類郡の配列は千原光雄(編)「藻類多様化の生物学」に従い,科
Famiry,属 Genusとそれに含まれる種はすべてアルファベット順とした。
【地域】
北海道から沖縄県までの範囲。 ただし千島列島南部から報告され,多分北海道東部にも産するであろうと考えられるいくつかの種もふくめた。 種の分布範囲は十分に確定されていない場合が多いので,大まかに北海道(東部,南部など),本州大平洋岸
(北部,中部,南部),本州日本海岸(北部,中部,南部),四国,九州,南西諸島などとして表現した。 国外についてはさらに大きな区分で示し,インド洋・大平洋については特に細分しなかった。
【学名】
国際植物命名規約 International Code of Botanical Nomenclature ,ICBN(Tokyo Code 1994)に従って
検討を加えた。 現行の属名とそのタイプ種については“Names in Current Use(NCU)”に従っている。 文献の引用は著書名と発表年にページ数や図の番号で示し,巻末に著者のアルファベット順に配列して詳細を示している。
著者名はできるだけ詳しくすることに努めた。 ある著者が正式に発表しなかった名前を別 の著者が発表した場合, exでその名前を続ける。 exの名前を省略することもある。
研究者が別の著者の論文や著書の中で発表した場合はそれをinのあとに示している。文献を引用しないで学名だけを利用する時にはin以下を省略する。 著者名は省略せずに示した。
【由来】
学名,和名の由来や生息地の特徴など関連する話題を●を付して豊富に紹介。
【タイプ標本】
現行の規定で1958年1月1日以降,新種の発表にはタイプ標本を指定し,その保管場所を明示することになっている。しかしこの規定に従っていない発表がいくつかあり,後の研究者が認めたもの以外は取り上げなかった。異名の引用はこれまで日本で使用されたものを主として取り上げるに留めた。
【タイプに関する情報】
北海道大学理学研究科(理学部)の標本室(SAP)に現在保存されている標本のうち,大形の種類の大部分 を写真図版として示した。 その他,所在が確認されているタイプ標本の保存されている標本室を国際的に登録されている
略号 (Index Herbariorum,ed.8)で示し,標本番号が分かっているものは引用した。未確認の場合はカッコに入れた。不明の場合は空欄になっている。
【和名】
種や種以下の分類郡の和名はこれまでに普通に使われているものを採用し,できる限り命名した研究者を 付記した。ここで新しく提案する和名もいくつかある。
属や科の名前は代表的な種の名前に基づいており,このような名前がない場合には学名の読みをカタカナ 書きとした。 【文献引用】 名前とそのBasionymの発表された命名法に関係する文献をすべて引用することとし,そのほかは日本で
発表されたものに留めた。目録のように分布情報のみの場合は引用しなかった。
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